Copilot+ PCと新型Surfaceのお話をしました。
Copilot+ PCとは | 闘うサンデープログラマー (windows-podcast.com)
Copilot+ PCとしての新型Surface | 闘うサンデープログラマー (windows-podcast.com)
Copilot+ PC連載の最後に今後の動向としてのCopilot+ PCにも対応したプロセッサについてみてみましょう。
マイクロソフトはCopilot+ PCを推進する際に、Qualcomm、Intel、およびAMDのプロセッサメーカーの三社と連携しています。Armとx86の複数のアーキテクチャを活用し、低消費電力で実績のあるArmプロセッサと、高い互換性と実績を持つx86アーキテクチャを組み合わせてCopilot+ PCを展開する予定です。
QualcommはこれまでSnapdragon 8cxシリーズなどでパソコン向けにもプロセッサを提供してきました。またSurfaceシリーズではマイクロソフトがカスタマイズしたMicrosoft SQシリーズのベースモデルにもなっています。さらに、ArmアーキテクチャのWindowsであるWOA(Windows on Arm)では、Qualcommとマイクロソフトが共同で開発しています。
QualcommはSnapdragon X EliteとSnapdragon X Plusをラインナップしました。いずれもNPUを内蔵しており、処理性能はCopilot+ PCの要件40TOPSを超える45TOPSです。アーキテクチャはArmアーキテクチャです。従来のSnapdragon 8cx Gen3同様にMicrosoft Plutonセキュリティプロセッサにも対応しており、セキュアなPCを実現します。
Intelは開発コードネームLunar Lakeというモバイルプロセッサを2024年第三四半期に提供する予定です。消費電力は従来製品(Core Ultra)の40%低減し、低消費電力化を実現しています。従来のIntelプロセッサは低消費電力のプロセッサ提供についてArmプロセッサに後塵を拝していましたが、競争力が上がると見られています。そして、NPUを内蔵しており、処理性能は48TOPSとなり、Copilot+ PCの基準をクリアしています。従来製品のCore UltraプロセッサのNPU性能は11TOPSでしたので、大幅な向上が見られます。また、Intelプロセッサとして初めてMicrosoft Plutonセキュリティプロセッサに対応しました。SoCとしての提供で、インターフェースもWi-Fi 7をサポートするなど最新の技術を取り入れています。ある意味、Copilot+ PCの本命のプロセッサと言えるでしょう。
さらに、デスクトップPC向けプロセッサとして開発コードネームArrow Lakeが2024年第四四半期に予定されています。自作PC市場においても、Copilot+ PCの登場が現実味を帯びてきました。
AMDはRyzen AI 300シリーズの提供を開始しています。すでにハイエンドゲーミングノートPCとして海外メーカーからの提供が始まっています。AMDは既にRyzen AI EngineとしてNPUを搭載したプロセッサを提供しています。これはFPGAメーカーとして有名なXILINX社を買収し、実現させたもので、マイクロソフトのAI PCとしてWindows Studio Effectsを実現させるなど、早い時期からNPUに対応してきました。Ryzen AI 300シリーズプロセッサのNPUの処理性能は50TOPSを実現しています。また、Microsoft Plutonセキュリティプロセッサへの対応ですが、現時点では対応が不明です。AMDは既存製品のRyzen ProシリーズやRyzen 6000シリーズでMicrosoft Plutonプロセッサに対応していますので、今後の対応が期待されます。
Copilot+ PCはまずはQualcommのプロセッサを採用したノートパソコンから展開が始まっています。ただし、互換性やこれまでの実績から市場ではインテル、AMDのx86アーキテクチャのプロセッサ搭載のパソコンの登場への期待は大きいと考えられます。これを第二波として展開されると考えています。恐らく2024年の年末商戦から2025年の3月までの間に新しいCopilot+ PCが登場することが予想されます。引き続き動向を追っていきたいと思います。