連載 わが青春の8ビットパソコン 第7章 快走!!FM-7!!「7.5 フロッピーディスク」

第7章 快走!!FM-7!!

7.5 フロッピーディスク

 当初の8ビットパソコンの外部記憶デバイスはカセットテープでした。安価に実現できたこともありましたが、読み込み速度が遅かったり、何よりもカセットテープの状態によって読み込みエラーが起きてしまうことが多かったです。特にFM-7はカセットインターフェースの出来があまり良くなく、読み込みエラー(ERROR 53、デバイスI/Oエラー)には本当に悩まされました。まさに祈る気持ちでした。無事ロードできた時などは「よっしゃ!!」とガッツポーズしていたことを覚えています。そんな中、夢の外部記憶デバイスがありました。「フロッピーディスク」です。

 フロッピーディスクは、今では見かけなくなりました。余談ですが、フロッピーディスクそのものの存在を知らないまたは聞いたことがあっても実物を見たことがない方も多いくらいです。「WindowsマシンってCドライブから始まるけどAドライブとBドライブはどうしてないんですか?」と聞かれることもあります。8ビットパソコンでも後に搭載されるようになりましたが、初期の8ビットパソコンにはまさに高嶺の花であり夢のメディアでした。PC-8001のオプションのフロッピーディスクドライブユニットPC-8031は価格が288,000円と本体の168,000円よりはるかに高かったです。

 読み込み書き込みの速度もカセットインターフェースに比べて格段に速かったですが、FM-7ユーザーにとっては「確実にプログラムを読み込んでくれる」メディアでした。最初に買ったのがFM-7用の5インチフロッピーディスクドライブでした。フロッピーディスクドライブだけ買ってきても動かすことができず、フロッピーディスクドライブを駆動するためのインターフェースカードも買わなければなりませんでした。FDC(フロッピーディスクコントローラ)という周辺LSIがなければフロッピーディスクドライブを制御することができませんでした。フロッピーディスクドライブごとにインターフェースカードが別々だったと思います。

 私が買ったフロッピーディスクドライブは富士通純正ではなく(とても高価だった)、EPSONのTF-10というフロッピーディスクドライブでした。インターフェースカードはEPSON製のTF-10専用インターフェースカードでした。富士通純正のほかにEPSON、ロジテックなどのメーカーがフロッピーディスクドライブを出していました。いわゆるサードパーティーと呼ばれたメーカーからは各パソコンごとのフロッピーディスクドライブを出していました。EPSONのTF-10もFMシリーズ用やPC-8801シリーズ用などが出ていました。

画像はオークションサイトから

 FDC(フロッピーディスクコントローラ)には何種類かあります。FM-7では富士通のMB8876Aでしたが、一方最大シェアを誇るNECのPC-8001/8801シリーズのFDCはNECのμPD765というものでした。それぞれ仕様が異なります。これが後にプロテクトで面白いことになるんですが、それは後でお話しましょう。

 BASIC言語のF-BASIC V3.0は、DISK BASICというフロッピーディスクで提供するBASICが用意されました。フロッピーディスクドライブ制御用のコードをメモリにロードしていたので、ディスクなしで起動するROMのBASICよりも若干空きエリアが少なくなっています。

 そして、フロッピーディスクを搭載したFM-7は最強でした。プログラムを作ってはすぐに保存できてすぐに読み出せる、しかも読み書きはほぼノーエラー(ディスクメディアがへたったり傷ついた場合は別ですが)でパソコンの運用効率が何倍にも跳ね上がりました。ゲームソフトもフロッピーディスクで販売されるようになり、カセットテープからドキドキしながらロードするのを待つこともなくなりました。この感動は、後にもう一度味わいます。ハードディスクドライブという夢のメディアによってです。もっとも、それを体験するのはFM-TOWNSを買ってからでした。

次回「7.6 FM音源」

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