第2章 憧れの第一世代のパソコン
2.2 PC-8001
PC-8001は日本電気(正確には新日本電気)から1979年9月に発売されたパソコンです。日本初と言われそうですが、日本で初めての完成品の一体型パーソナルコンピュータは日立のベーシックマスターです。しかし、非常に人気がありパーソナルコンピュータと言えばPC-8001という印象があります。価格もベーシックマスターが228,000円であるのに対して168,000円と20万円を下回ったことと日本電気の直営ショウルームBit-INNでの草の根活動が功を奏したともいえるでしょう。
CPUはμPD780C-1というZ80Aのセカンドソース品が使われています。メモリはROMが24KB、RAMが16KBです。テキスト表示が最大80文字✕25文字、8色でこれがこの後のパソコンの文字表示の基準の一つになりました(解像度ではなく)。グラフィックスは160✕100ドットの8色です。今から見るととんでもなく荒い解像度ですが、当時はこのギザギザの解像度でもカラー表示するということで素晴らしいスペックでした。
言語はマイクロソフト製BASICを搭載しており、PC-8001用のN-BASICです。この頃からマイクロソフトの名前は見続けていました。
アプリケーションソフトや特にゲームが豊富で、それが相乗効果となりMZ-80Kと人気を二分する大ヒットマシンとなりました。ゲームセンターでしか遊べなかったスペースインベーダーなどのゲームが家で無限に遊び続けられるなんて夢のようでした。ゲームは月刊I/Oをはじめとするパソコン雑誌ではBASICやマシン語のプログラムが掲載され、カセットテープから読み込んだり手入力したりして遊びました。当時は電気屋さんでも販売されていました。または、BASICのソースコードやマシン語のダンプリストで16進数の羅列が雑誌に掲載されてそれを見て打ち込んだものです。当時は電気屋さんで、ですが。
また、パソコン本体がヒットすれば周辺ハードウェアも出てきます。別売の拡張ボードとしてサウンド機能を持たせたボードやキャラクターを作成できるプログラマブルキャラクタジェネレータ機能を搭載したボードなど発売されました。キーボードはしっかりした本格的なものでした。
本体とCRTモニタまたはRFアダプタによるテレビで画面出力します。当時は本体を買うのが(買ってもらうのが)やっとということでテレビにパソコンをつなげていた方も多かったと思います。Bit-INNというショールームがあり、ここでも触れることができました。Bit-INNはすでに発売していたワンボードマイコンのTK-80のアンテナショップだったとして秋葉原駅前のラジオ会館にありました。秋葉原に行くパーツ屋を見てBit-INNにも行く。まさに巡回コースでした。パソコンとしても発祥地であり聖地でした。
まさに日本のパソコンシーンを牽引した一機種であると言えるでしょう。2015年9月1日には、国立科学博物館の重要科学技術史資料(登録番号:第00205号)として登録されています。