連載 わが青春の8ビットパソコン 1章 パソコン少年誕生「1.3 天才電卓ピタゴラスPC-1211」

第1章 パソコン少年誕生

1.3 天才電卓ピタゴラスPC-1211

 中学校のクラブ活動で教材というか技術家庭科の予算で買ったのかはわかりませんが、顧問の先生がシャープのポケットコンピュータPC-1211を持ってきました。先生は成績の集計などにも使っていましたが、私たちにも開放して使わせてくれました。ポケットコンピュータ、略してポケコンです。当時はシャープの関数電卓の一つという位置づけだったと思います。「天才電卓ピタゴラス」という商品名がついていました。

 PC-1211は4ビットCPU(SC43177/43178)を採用し、動作クロックは256kHz、メモリ(RAM)は2KBというスペックでした。

 PC-1211の特徴はBASIC言語でプログラムが組めることでした。ある程度の処理をプログラムで組んで動かすというレベルであればカシオ計算機のFX-502P/FX-602Pがありましたが、BASIC言語でプログラムが組めることはPC-1211が初めてでした。オプションのプリンタユニットはドットインパクトプリンタで英数字が印字できました。画面は24桁×1行でした。このポケコンにプログラムを打ち込んで実行することができました。 マニュアルにはプログラム集も付いており、ロケットの軟着陸ゲームなどが入っていました。ロケットの燃料を数字で入力してEnterキーを押すと、その燃料によってロケットが噴射して上昇します。重力で下に落ちていくのですが、燃料を与えすぎると上昇し過ぎてしまってゲームオーバーになったり、逆に燃料が少なすぎると地表に激突してしまってゲームオーバーになったりするものです。速度0で無事着地させると成功です。それらのゲームや自分や友人たちが作ったプログラムや改造したものなどを楽しみつつ、クラブの友達同士でポケコンを使っていました。

 そして作ったプログラムはカセットテープに記録しました。オプションとしてカセットインターフェースも付けることができ、プログラムをカセットテープに保存することができました。私は、このカセットテープの音を聞いてみたことがあります。「ピーーーーーー、ギャラララピーーーー」という不思議な音が出て、「これがプログラムの音なんだ」と感動しました。ただし、記録したとしても、再生時のテープの状態や調整によっては読み込めないことも多々ありました。 PC-1211は初めて自分の作ったプログラムを動かしたコンピュータでした。

次回「1.4 マイコンからパソコンへ」

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