連載 わが青春の8ビットパソコン 第6章 富士通 FM-7「6.5 「5」のキーを押せ!!」

第6章 富士通 FM-7

6.5 「5」のキーを押せ!!

 「FMシリーズはゲームに向かない」という理由がもう一つありました。それは、キーボード入力です。FMシリーズのキーボード入力は4ビットのコントローラで制御されていました。一方、PC-8001やMZ-80はマトリックス上のスイッチでソフトウェアでキーボードの入力状態を読み取っていました。一見、コントローラ制御のFMシリーズの方が優れているように見えますが、重要な問題がありました。FMシリーズはキーボードを押すと、コントローラからは同じキーコードを出し続けてしまいます。つまり、それぞれのキーが押されたか離されたかの判別ができなかったのです。 例えば、ゲームのキャラクター移動をテンキーの2(下)、4(左)、6(右)、8(上)で行う場合、4のキーを押したら手を離してもゲームのキャラクターは左に行き続けてしまいます。ゲームソフト側にすでに4のキーが押されていないことを知らせる必要がありました。何も影響のない別のキーを押すしかありませんでした。そこでゲームのキャラクターの移動を止めるときはテンキーの中央の「5」のキーを押して止めていました。これはFMユーザーだけに通じる技でした。

 いわゆる「リアルタイムキースキャン」というものがFMシリーズにはありませんでした。リアルタイムキースキャンは後継機のFM77AVになってやっと搭載されました。

 また、もう一つの問題として複数のキーが同時に押されたことも判断できませんでした。コントローラからは押されたキーのコードが伝えられますが、通知方法が一種類だけだったからです。PC-8001だとキーボードのマトリックスのどこの”場所”が押されたかを知ることで複数のキー入力を検出できました。これにより、テンキーを使ったゲームキャラクターの移動では6(右)と8(上)のキーを同時に押すと斜め右上に移動させるということもできたのです。

次回「6.6 ミサイル発射はBreakキー!!」

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