第1章 パソコン少年誕生
1.8 必殺16進数キー入力
パソコン雑誌には、プログラムそのものを16進数で表した文字列にして載せていました。これはマシン語と言って、CPUが直接読んで(翻訳もなしに)実行できるプログラムを表記したものです。見ただけでは何が書いてあるかわかりません。(慣れてくると何となく分かってくることもありますが)この16進数で表した文字列を「16進ダンプ(リスト)」と呼んでいました。この16進数の文字列を打ち込んだりして実行するとゲームなど遊ぶことができました。
また、16進ダンプリストには、入力した16進数が正しく入力できたかチェックできるようになっていました。これは「チェックサム」といって、指定した範囲の合計値を16進数下二桁に変換して、正しく入力できているか確認するものです。16進数のダンプリストは横16バイトと縦16バイトの合計256バイトを1ブロックとして構成します。チェックサムは横16バイトの合計値の下二桁が各行の右端に、縦16バイトの合計値が各列の下に、右下には各ブロックのチェックサムが記載されていました。256バイトのブロックごとにまず全体の合計値があっているか確認し、異なる値ならば縦横のチェックサムを確認して誤って入力した部分を見つけます。但し、合計値なので、二か所以上誤って入力して結果的にチェックサムが同じ値になってしまうこともあります。縦横でチェックすれば大抵は見つかるのですが、見つからない可能性もゼロではありません。すべて入力してチェックサムもあっているのに雑誌に掲載されたプログラムが動かないなんてこともありました。そのときは1バイトごとにすべてチェックもしました。それでも間違いがなくて途方に暮れていると、翌月号に「正誤表」が載っていて、その通りに直したら動くこともよくありました。
16進数は0~9とA~Fで表現します。これを一般的なキーボードで打つのは大変です。キーボードのテンキーには0~9の文字があり入力しやすいのですが、A~Fの文字はメインキーボード側で打たなければなりません。パソコンのテンキーボードには数字以外に「+ / – * = .」など6個以上のキーが割り当てられています。16進ダンプ入力のプログラムが開発され、これらのキーをA~Fに割り当ててテンキーだけで16進数入力できるようになりました。そのおかげで16進数ダンプ入力は速かったですね。今でも右手がFM-7のテンキーで高速入力していたことを覚えています。