連載 わが青春の8ビットパソコン 第5章 ホビー機能が強化された第三世代8ビットパソコン「5.1 パソコンテレビX1」

第5章 ホビー機能が強化された第三世代8ビットパソコン

5.1 パソコンテレビX1

 シャープはかつて二系統のパソコンを出していました。一つはMZシリーズ、もう一つはX1シリーズです。

 X1シリーズは、主にテレビを取り扱っていたテレビ事業部が開発したものです。MZシリーズとCPUが同じZ80だった以外に共通点はなく、互換性もありませんでした。今では考えられませんが、当時は同じ社内でも別部署がそれぞれ異なるカテゴリーの製品を作っていました。そのような時代背景から生まれたユニークなパソコンだったと言えます3 。このX1シリーズは後にX68000へと発展することになります 。商品名も「パソコンテレビX1」というこだわりようでした 。モニターにはテレビチューナーが内蔵されており 、単なるパソコンではなく、パソコン機能付きテレビだったのです 。また、キーボードからチャンネルや音量を操作することも可能でした 。

 グラフィックは640×200ドットの解像度で8色表示できます。PCG(プログラマブルキャラクタジェネレータ)やPSG(プログラマブルサウンドジェネレータ)を搭載しているため、ゲームソフト開発には魅力的なスペックでした。

 設計思想はMZシリーズと同じクリーンコンピュータ構成でした。BASICをカセットテープからロードする仕組みは変わりませんでした。後継機が出てBASICインタープリタがバージョンアップされても初代X1でも使用できました。カセットインターフェースは高機能化しており、MZ-80B同様に巻き戻し・早送り・頭出しが制御できます。通信速度は2700bpsを実現しています。カセットテープレコーダーは本体に内蔵されており、データ転送も安定して(カセットインターフェースとしては)高速に行えました。

 ボディは本体とキーボードが別になっているセパレートタイプと呼ばれるものです。さらに初めてカラーバリエーションが用意されました。ローズレッド、ホワイト、シルバーの三色です。「赤いパソコン」はX1が最初でした。(と言っても当時「通常の三倍速い」と言われることはあまりなかったと思いますが。)

 X1シリーズにはこの後、本体とキーボードが一体化されたX1Cというモデルも発売されました。X1Cは学生時代に友人から中古で譲ってもらい、持っていました。

次回「5.2 MZ-700」

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