第4章 第二世代8ビットパソコン
パソコンと言えば、PC-8001、MZ-80K、ベーシックマスターという所謂「御三家」に続いて各メーカーからパソコンが発売されていきました。ここに東芝、富士通というメーカーが参入します。興味深いのは各社ともパソコンというのは汎用計算機の流れではなく、電卓の延長であったり、ホビーキットやトレーニングキットの延長であったり、半導体の応用製品として出てきたりと様々な各社の事情があったことです。
4.1 東芝 PASOPIA
ノートパソコンと言えば東芝です。Dynabookシリーズは今でも家電量販店に行くとたくさん並んでいます。そんな東芝でも、パソコン市場への参入は後からの参入でした。参入したのは1981年だったことから、PC-8001やMZ-80などよりも遅れていました。富士通のFM-8も同じ時期に参入しました。私はこれらを、「パソコン二年生組」と呼んでいました。
東芝が初めて一般市場向けに発売したパソコンがPASOPIAです。
ちょっとお姉さんの脚が。(^_^;)
CPUはZ80A、グラフィックはPC-8001同様に160×100ドットのグラフィックスですが1ドットごとに色が付けられるという意味では、PC-8001を超えていました(PC-8001ではドット単位の色指定ができませんでした)。また、ファイングラフィックモードとして640×200ドットで8ドット単位に8色指定できました。当時のパソコンのサウンド機能はブザーを鳴らすか鳴らさないかというレベルでしたが、PASOPIAはZ80CTC(タイム機能を持った周辺IC、Counter Timer Circuit)により音階を付けてブザーではあるのですが、音楽を奏でることができました。BASICにもSOUND文とPLAY文がありました。
言語はT-BASICです。更にOA-BASICが別に用意され、オプションとしいカードリッジによりPASCALなどの言語が提供されていました。ある意味PC-8001とMZ-80のいいところを持ってきたと言えるかもしれません。T-BASICが用意されたモデルはPA7010、OA-BASICが用意されたモデルはPA7012と型番がついていました。
ボディはくさび形のデザインでとても格好良かった印象があります。実はパソコンを購入するときに後述するFM-7にしようか、このPASOPIAにしようか凄く悩みました。この後グラフィックと音楽機能を強化したPASOPIA 7が発売され、ビジネス用途では16ビットモデルのPASOPIA 16や1600シリーズやMSX機としてPASOPIA IQシリーズにも展開されていきました。残念ながら主流とはなれませんでした。しかし、東芝のパソコン事業はノートパソコンの世界的な代表作Dynabookへと展開されていきます。