Copilot+ PCとして新型Surfaceが発表されました。
Copilot+ PCとしてのSurface
Copilot+ PCは、前述のとおり、下記の条件がマイクロソフトより示されています。
- NPUを搭載していること。NPUは40TOPS
- メモリは16GB以上、LPDDR5
- ストレージは容量が256GB以上、SSDまたはUFS
このスペックは、NPU以外の中級機以上のWindows PCについてはクリアしています。ポイントはNPUです。AIの処理は、ニューラルコンピューティングの行列計算に基づいています。これは8ビットや16ビットの整数の足し算や掛け算を行うだけの処理です。この処理を「大量に同時に」行う必要があります。さらに、ノートパソコンでの稼働を考慮すると、低消費電力で行うことが求められます。そのためにNPUが必要です。また、処理能力40TOPSは、一秒間に40兆回以上の演算を行うことを示しています。ただし、このTOPSという数字は、マイクロソフトやクアルコム、インテル、AMDなどが定義するものであり、一回の演算処理が具体的に何を示しているかは明確ではありません。一説には16ビットの整数演算ともAMDの発表スライドで見られますが、マイクロソフトとしての明確な表記は確認できていません。一方、AppleはM4プロセッサでAI処理について38TOPSと発表していますが、これも基準が明確ではなく、比較をするのも性急だと考えています。
そして、このCopilot+ PCの基準を満たすパソコンがまずマイクロソフトのSurfaceから登場しました。
新型Surface
新たに発表されたのがSurface ProとSurface Laptopです。正式な名称が「Surface Pro (第 11 世代)」と「Surface Laptop (第 7 世代)」です。今までは「Surface Pro 10」のようなナンバリングをしていましたが、呼び方が変わりました。この呼び方はかつてSurface Pro (第 5 世代)でも採用されていました。
新型Surfaceの特徴
新型Surfaceの特徴はプロセッサにQualcommのSnapdragon Xシリーズを搭載していることです。ラインナップとしてはSnapdragon X EliteとSnapdragon X Plusの搭載モデルを展開しています。プロセッサのアーキテクチャはArmになります。すでにWindowsはArmプロセッサ上での動作実績があります。今まではIntelプロセッサモデルに加えてArmプロセッサモデルが並行してラインナップされていましたが、今回はArmプロセッサ版のSurfaceが先に登場しています。Snapdragon X EliteとSnapdragon X Plusの搭載モデルが展開されており、特にNPUを搭載していることが大きな要因となっています。このNPU性能は45TOPSとCopilot+ PCの基準を上回っています。IntelのCore UltraシリーズにもNPUは搭載していますが、NPU単体の性能としては11TOPS程度と言われており、Copilot+ PCの基準を満たしていません。
基本スペックはすでにビジネスモデルとして発売されている Surface Pro 10 と Surface Laptop 6 を踏襲しています。Surface Pro 10 の広角カメラも採用されています。メモリは容量が 16GB と 32GB のラインナップがあり、Copilot+ PC の基準である 16GB 以上を満たしています。さらに、メモリの種類も LPDDR5+ という基準を上回るものを搭載しています。ストレージも 256GB 以上の SSD を搭載しています。
そして、Surface シリーズとして初めて、無線LAN機能として Wi-Fi 7 が使えるようになりました。Wi-Fi 7 は2023年12月末に日本でも使用が認可され、無線LANルーター各社からWi-Fi 7対応の無線LANルーターが発売されています。
Surface Pro (第 11 世代)
Surface Pro (第 11 世代)の主要なスペックです。
Surface Pro Flex キーボード
Surface Pro Flexキーボードが周辺機器に追加されました。Bluetoothを利用してワイヤレスで操作できるようになり、キーボード内部にはバッテリーが内蔵されています。さらに、従来のSurfaceキーボードも引き続き使用可能です。
ラインナップと価格
ラインナップと価格です。
Surface Laptop (第 7 世代)
Surface Laptop (第 7 世代)の主要なスペックです。
ラインナップと価格
ラインナップと価格です。
次に、Copilot+ PCをとりまく技術動向をプロセッサメーカーから見てみましょう。