先日大船の駅ナカ本屋さんで「海賊とよばれた男」を買って読みました。ちょっと前から話題になっていたので興味はあったのですが、一冊1680円でそれが上下巻というお小遣い制の私には厳しい(!?)価格だったのですが、買ってみました。
このお話は出光興産の創業者である出光佐三さんの半生を綴ったものです。この本では、出光佐三さんは国岡鐡造、出光興産は国岡商店としています。石油の商社として、創業そして敗戦後のGHQや国内の石油業者との闘い、そして一企業が単独で中東にタンカーに乗り付け石油を輸入した日章丸の話、大企業になりアメリカのメジャーと呼ばれる石油会社との確執もそして晩年へと物語は進みます。強い意志と相手を魅了する人間性が描かれています。
上巻は、前半で終戦の日から始まり国岡商店は一人の人員削減(馘首)もせず、GHQや石統と呼ばれる石油の国策会社の中でようやく石油販売にこぎつける話まで進みます。そして上巻の後半では、時代は明治に遡り国岡鐡造の生い立ちから国岡商店の立ち上げ、国内、国外への事業展開、そして終戦へまでがかかれています。
下巻は、国内の石油販売にこぎつけた国岡商店が日本の石油業界というか日本のために奔走する物語が怒涛のように進みます。特に日章丸事件と言われた、タンカーを単独で中東イランまで差し向け石油の輸入に成功するお話は圧巻で吸い込まれるように読み入ってしまいます。
この本すべてを通じて、国岡鐡造の人間を尊重し一企業の利潤を求めるのではなく業界いや日本のために強い意志を持ってあらゆる困難に立ち向かう姿勢、そして彼に魅了されあらゆる手段を講じて努力する店員達(社員ではなく店員と呼んでいる)の努力。それが心揺さぶられます。
確かに現実問題としてすべてが成功ではなく、努力が報われることは少ないでしょう。でも、すぐに諦めてしまわず、少しでも食い下がって最大限の努力はしてみようと強く感じさせられます。それぞれ事情は違うかもしれませんが、何か考えさせられるところはあると思います。お仕事をされている方やこれから社会人になる学生の方もお勧めしたい本です。
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